「若者の投票率を上げよう」といったスローガンは何度も聞かれますが、私はこのような啓発に疑問を感じてきました。
そのことについて話した講演の内容を紹介しようと思います。
なお、この時の客層は高齢者。選挙啓発ボランティアに取り組んでいる方々です。
みなさん、こんにちは!
本日講演させていただくべっきです。岡山大学大学院で主権者教育について研究しています。
今回のテーマは「若者の投票率」について。2019年の参院選において10代20代の投票率は30%代でした。
これまでも「若者の投票率が低いことが問題だ」と言われ、様々な対策が行われてきましたが、なかなか改善されません。
本日は、なぜ若者の投票率は低いままなのか、根本的な原因から考えたいと思います。
そして、私からいくつか解決策を提案させていただきたいと思います。
若者は政治に関心がない?
なぜ若者の投票率が低いのでしょうか?政治に関心がないから?
実は日本の若者は国際的にみても政治に関心がないわけではないということがわかっています。
選挙権を得たばかりの私も社会に関心はありました。しかし・・・
超基礎的な知識がなくて、選挙の時にどうしても判断が難しかったのです。
基本的な知識がないから選挙に行けない、これはとてもシンプルな問題です。
よく違いがわからないアイドルを並べられてどれがいいか聞かれても困りますよね。選挙でどの候補者がいいか選んで投票しろと言われた18歳の私の心境はこんな感じでした。もちろん詳しい人から見たら全然違うもので、どれが好きか選べますが。
そして知識がない人に対して、知識のある人は「勉強不足だ」と責めたり、あるいは説明して説得しようとしたりしたくなってしまうかもしれません。
しかし意見を押し付けられてしまったらどう感じるでしょうか。
知識がないから私が参加するべきものではない、そう思わせてしまっては政治参加へのハードルはとても高いものになります。
そうならないように私たちができること、それは「自分の意見を押し付けないように意見交換してみる」。
意見交換をすれば投票率が上がる、ということではありませんが、大事な一歩です。
知識が不十分だったとしても、まずは意見や疑問を言いやすくすること。
Instagramでは政治について匿名で質問や意見が言えるアカウントも登場しています。
若者は選挙の大切さをわかっていない?
若者の投票率が低いままの理由、2つ目を考えましょう。
選挙の大切さをわかっていないんじゃないか?そう思う人もいるかもしれません。
実際に選挙に行った人になぜ行ったのか聞いてみると「選挙に行くことそのものが大事だと思ったから」という答えがよくかえってきますしね。
しかし、そう思わない人もいます。
様々な方法やグッズでの選挙啓発が試みられています。
(ここの場面はささっと流しましたが、この時の講演の相手はこのようなグッズを作って配布している方々なので相当勇気のいる批判でした)
しかし、「選挙に行くことが大事だというのはわかるけど行かない選択をしている」「選挙に行くことが大事だと言われても納得しない」人たちにただ「選挙に行こう」と呼びかけるのは限界があるのです。
「選挙に行こう」と呼びかけるだけではだめなの?
昔と違って生活や受け取る情報が人によって大きく違う現代、若者の価値観は多様化しています。
そして若者は自分の価値観に基づいて行動を判断するので、そもそも「呼びかけて考え方を変えてもらう」という発想に限界があるのです。
ではどうすればいいのでしょうか?
自分の価値観、興味関心に合わせて行動を選べるよう、複数の選択肢を提示することがカギなのではないかと考えています。
PoliPoliというサービスでは、自分の関心のある政策を選んで政策について学んだり、議員にメッセージを送ることができます。
政治への無力感がある?
若者の投票率が低いままの理由は様々ありますが、一番深刻なのは「無力感」だと思っています。
選挙に行くことそのものに意味があると思える人はいいのですが、やはり納得できない人も多くいます。選挙で何が変わるのだろう?
実際、政治に参加する手段が選挙しかなければ、無力感を感じてしまうのは当たり前です。
じゃあ、選挙以外の方法で社会に参加する経験ができたらどうでしょうか。
これまで、オンラインで政治に参加できる方法を紹介してきましたが、オフラインでしかできない経験も多くあります。
例えば、議員と若者が直接話す機会をセッティングすること。
議員と意見交換を行うことで「まちを良くしようとしている人がいるんだ」「自分の意見も聞いてもらえるんだ」と思えるきっかけとなります。
また、地域に参加する経験も、社会への自己効力感を高めるものになります。
社会貢献活動やボランティアに興味のある若者は一定数います。
インターネットで検索し、チームに入る高校生、大学生も多くいます。
関心がある若者が参加しやすいような組織を目指すことも重要です。
(町内会は形骸化していたり、HPがなかったりして、若者は参加しづらい)
まとめ
私が考える「若者の投票率が低いままの理由」「若者が選挙に行くかもしれない方法」はこのとおりです。
おまけ
「一方的な啓発には限界がある」と講演で話してしまった後、おみやげとしてたくさんの啓発グッズをいただいてしまいました笑
ありがとうございました!
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