教育系大学院まとめ

現役教員や教員志望大学生が大学院に行きたい!と思っても大学院の情報って学部と比べて得られにくいですよね。

このページでは主に社会科教員・社会科教員志望大学生向けの情報をまとめています(が、そうでない人にも役立ててもらえば嬉しいです)。

情報は今後も随時書き足していきたいと思っているので、情報提供のご協力をお願いします!

また、このページでは通っている一部の学生の主観も含まれているので、興味のある大学院・研究室には必ず事前に見学に行き、先生と面談してください。

北海道大学

北海道大学に教職大学院はありません。

教育学研究院・教育学院

●特徴

学校教育実践に直接つながるような学問よりも、教育に関わることを広く学びたい人におすすめ。

教育学研究院では①教育基礎論、②教育社会科学、③教育心理学、④健康体育学の4つの分野で教育に関する学問を追求できる。

教育学院では①学校教育論、②生涯学習論、③教育社会論、④教育心理学、⑤臨床心理学、⑥健康教育論、⑦身体教育論、⑧多文化教育論ができる。

●院試

英語と専門分野の試験がある。事前に研究計画書を提出する。対策を先生や先輩に事前に聞くのが良い。

●社会科教育学を学びたい人は

社会科教育学について学ぶことはできないが、教育方法学のゼミに入って社会科教育の方法について学ぶことはできると考えられる。

千葉大学

修士課程(教育学研究科 学校教育学専攻 )

●特徴

いわゆる「修士課程」には、5つの系がある。入学者は毎年60名前後であり、一般選抜とは別に現役教員向けの入試がある。 「横断型授業づくり系」を中心に、「言語・社会系」「教育発達支援系」「理数・技術系」「芸術・体育系」がある。

出願時に所属希望先の教員名を記入する欄があるため、個別で連絡を取るor説明会に行くことは必要である。

現役教員に配慮し、夜間(6限 18:00〜, 7限 19:30〜)の授業がいくつかある。必修授業も隔年夜間に開催されているため、無理なく履修することができる。 また、現役教員に限り、申請を出せば、2年間の学費で6年間在籍することが可能であり、多くの教員が利用しているようだ。

現職とストレートマスターが混在していて、学校教育について学び議論するには十分な環境。しかし、事前に指導教官のリサーチは必須です。自分の学びたい分野領域を明確にすることが大事。

●院試

研究計画書と志望理由書が必須。

現職の場合は、教育実践・研究報告書を出願時に提出する。 現職は口述試験のみ。

一般選抜は小論文と系ごとの選択問題がある。英語が課される場合があるが、紙辞書の持ち込み可。 小論文などの対策は、過去問が窓口で閲覧可のため、何年度分か解くのがおすすめ。お題はそこまで難しくないので、論理的に記述できるのかが大切。 口述試験は、研究計画書をもとにひたすら深掘りされる。「この人を本当に入学させて大丈夫か」という目線で見られている。先行研究をしっかり調べて、自分の研究の新規性についてまとめることや、関連するキーワードの定義を説明できるようにしておくことが大事。

●社会科教育学を学びたい人は

社会科を学ぶのであれば「言語・社会系」を選択することになる。授業実践をやりたい方は「横断型授業づくり系」になるが、指導教官に依拠するものであるため、事前にリサーチしておく必要がある。 https://www.education.chiba-u.jp/graduate/g_teacher1

東京大学

公共政策大学院

●特徴

経済学部と法学部(政治学・国際政治学含む)が合わさったような大学院。 修士課程ではなく専門職学位課程なので、修論がないことが最大の特徴。

メリットは時間的余裕があること、デメリットは本格的な研究ができないこと。「研究論文」という形で論文を書くことはできるが、通常の修論レベルのものになるかどうかはその人次第。

アカデミックなキャリアを積んできた教員と、主に官公庁で実務経験を積んだ教員が半々ぐらいでいる。強みは後者の実務家教員の多さで、個別の省庁の詳しい話や政策形成過程の裏話も聞ける。 他研究科の授業も履修できるので、やる気次第であらゆる分野の一線級の先生方の授業を受けられるのも、中高の教員には大きなメリット。

●院試

筆記試験+面接。 TOEFLibtのスコアが必要になるのが大変。80点ぐらい必要だと言われているが、専門科目次第では60点でも受かる。 専門科目は政治学や経済学などから選択で、過去問を購入することができる。

●社会科教育学を学ぶには

所謂「社会科教育学」を学ぶことはできない。政治・経済に関する個別の分野の専門知識をつけたい方にお勧め。 教育学研究科学校教育高度化専攻の授業を履修することで、社会科教育との接続を意識した学習計画を立てることはできる。

教育学研究科学校教育高度化専攻

●特徴

「教育〇〇学」をやる旧帝系の教育学部と「〇〇科教育学」をやる教員養成大学の融合を意識して設立されたそう。

教員はアカデミックなキャリアを積んだ研究者で、「元教員」の方はいないが、学生は小中高の教員も多くいる。 教員の場合は主に「教職開発コース」か「教育内容開発コース」に入学する。一応後者は教科ごとにわかれてはいるが、基本的には教科というより「研究方法」に注目して自分に合った先生を探すのが良い。

M1で「実地研究」という授業があり、附属学校で授業見学をする。このときの問題関心を発展させて修論を書く人が多い。

●院試

筆記試験(英語+専門科目)と面接。 英語は英文和訳だが、難易度は学部入試と同じかそれ以下。テーマが教育哲学、教育社会学、教育心理学なので、読み慣れておくと良いかも。

専門科目は論述で、教育関連のテーマから幅広く出題される。専攻共通問題、コース共通問題、選択問題の3題構成。 過去問を購入できる。

●社会科教育学を学ぶには

北村先生という方が人文社会教育を担当されている。開発教育、ESDなどをご専門にされている方。オンライン授業で他大の学生の聴講を認めていることがあったので、コネがあれば事前に授業見学をすることができるかも。

また、教育心理学がご専門の藤村先生という方が理数科教育を担当されているが、「教育心理学の切り口で社会科教育を研究したい」という学生も受け入れている。

東京学芸大学

教職大学院

●特徴

教員養成がメインでプログラムによっては現職教員のほうが多い場合もある。 毎年20日以上の教職専門実習が必要であり、事前の希望により私立や公立の学校に配属される。研究のテーマに関する授業を実施できるかは学校次第で全くできない場合もある。

修士論文に準ずるものは希望制で、基本的には課題研究を提出。

IB(国際バカロレア)教育に関する講義を受けることができ、付属国際でのワークショップに参加することもできる。IBに関する講義を受けることでIBの教員資格を取得することができる。

●院試

小論文が2種類と面接。小論文は学校教育に関する最新の動向に関するものと、自分の専門科目に関すること。大学内図書館で閲覧可能。

●社会科教育を学びたい人へアドバイス

学びたい先生がいたとしても、指導教員を選べないことに注意。しかし基本的に必修科目で学ぶことができる。先生方への質問もしやすい点が魅力的で、社会科教育学なら日高先生や渡部先生、大澤先生、荒井先生、川崎先生といった先生方に質問をするとよい。ここでは名前を挙げていない先生方も専門分野の知識からアドバイスを頂ける。 自主ゼミによる読書会や、授業づくりゼミなども行っている。

学術的な研究をしたい人にはあまりおすすめできない大学院であるが、 現職の先生方と一緒に教材研究したい人やIBについて理解を深めたい人、授業力を向上させたい人にはおすすめ 。

修士課程

●特徴

●院試

英語と専門試験(各自の専門分野+他分野の専門分野の用語説明)、研究計画書、口頭試問がある。

●社会科教育学を学びたい人は

社会科教育学をド直球で学べるコースはない。

上越教育大学

教職大学院

●特徴

令和4年4月から専門職学位課程(教職大学院)のコースが増えて,
①学校教育実践研究コース(学校経営・学校心理領域,学級経営・授業経営領域,道徳・進路・生徒指導領域),
②教科教育・教科複合実践研究コース(人文・社会領域,自然科学領域,芸術創造領域,生活・健康領域,教科横断・総合学習領域),
③発達支援教育実践研究コース(特別支援教育領域 ,幼年教育領域,学校ヘルスケア領域)に。

修士課程が4月から,心理臨床研究コース(心理臨床領域)のみになった。

また,他の大学院と異なって,学部時代に教員免許を取得していなくても大学院でゼロから取得できる「教育職員取得プログラム(免P)」があり,小学校含め様々な校種の免許が取得できる。

教育学部のみの単科大学についている大学院で、院生の方が多いという大学院大学なんて言われている。 現職の先生もたくさんいらっしゃるので、教育実習を控えた学生や講義の中の課題など、現職の方に質問しながら進めることもできるので学びが多い。 また、後期から学校実習(学校支援プロジェクト)に150時間行くのだが、支援内容もゼミ毎でかなり多様。

しかし、教職大学院ではいわゆる修士論文を卒業要件に課さずに、学習成果報告書の提出(大学院で何学んだかを書く)と審査で卒業できる。が、領域によっては、修士論文風のもの(個人研究)を課すところもあり。

免許は保有していて、特に取り増しすることを考えていなければ、他の大学の方が研究ができるだろう。

●院試

前期、中期後期(定員次第)である。機関長推薦で大学から入るパターンもあるそう。

前期入試で入る場合、自身の受験する領域(専攻)についての筆記(小論文)と面接がある。中期以降はコロナで面接のみになる場合も。 全体を通して、面接ではどの人に聞いても、研究のビジョンや学部時代の研究内容,どんなことを学びたいか等を聞かれる。

●社会科教育学を学びたい人は

中平一義先生のゼミは小中高の社会系教科、特に公民教育の理論と実践、実証研究をしている。 中心的な内容は、法教育、主権者教育、シティズンシップ教育。 その方法として意思決定をする熟議民主主義と、社会参画を研究している。

ゼミでは、研究した理論を現場で実践的に実証することを目指しており、現職の先生がゼミにいる。そのため、他のゼミ生は現場の声が聞きやすい。

なお、社会科教育学としては、中平一義先生のほかに地理教育の志村喬先生と、歴史教育の茨木智志先生がおり、学生は社会科を総合的に研究できる。

山梨大学

教職大学院

●特徴

2019年より修士課程を廃止し,教職大学院に一本化。学級経営や特別活動に関する研究および関連科目の履修を主にした「教師力育成分野」と,教科教育に関する研究及び関連科目の履修を主とした「初等教科教育分野」「中等教科教育分野」に分かれる。

学部卒院生24名,現職院生14名の定員で,現職の教員と共に学ぶ環境が揃っている点が特徴。研究課題設定のもとで毎年200時間の学校実習に参加し,学級経営や特別活動,教科教育等に関する研究を進める。修士論文は課されないが,年に一枚リサーチペーパーとしての研究報告書と外部参加者を交えた大学院の研究発表会で研究成果を発表することが成果として求められる。

山梨県で教員を目指している人、特に小学校教員を志望している人、複数の教科を捉える視点を身につけたい人に特におすすめ。

●院試

志望理由書(研究計画込み,100点)と面接(200点)。

●社会科教育を学びたい人は

基本的に実習指導教員と研究指導教員は一年毎に決められ,それらの事情より大学院側が専攻等を踏まえて指導教員を決定するため,希望の指導教員がつくわけではないので注意が必要。なお,大学院には社会科教育学を専攻とする先生と教科内容に関わる先生が1名ずつ配属されている。社会科教育を学び深めたい人は教科教育に関する二分野に進学すれば,社会科教育の原理に関する授業及び初等・中等社会科の授業作りに関する授業を履修でき,社会科関係の先生方のもとで学ぶことができる。また,個別に各先生に指導をお願いすることもできる。

また,教科横断の視点を重視するためか,他教科に関する授業を6単位分履修する必要があり,他の必修も踏まえると,社会科に関する授業の割合が高くない点は注意が必要。院生や先生方と自主的にゼミや勉強会を開いて学びを深めていくことが,より社会科を深める上ではポイントになる。

大阪教育大学

教職大学院(連合教職実践研究科 高度教職開発専攻)

●特徴

① スクールリーダーシップコース(夜間)
勤務経験3年以上の現職教員等を対象。 保護者や地域住民と協働して学校経営を行う、教員集団のリーダーを養成する。

② 援助ニーズ教育実践コース(夜間)
多様な援助ニーズに対応するための高度な教育的手法を身に付けた教員、「チーム学校」の考えで、学校園内・外の関係者と協働して教育実践を展開できる教員を養成する。

③ 教育実践力コース
今日的な教育課題に対応した授業開発に先端的かつ継続的に取り組むことのできる教員、教科領域の確実な指導力とカリキュラム・マネジメント力をもつ教員を養成する。

④ 特別支援教育コース
特別な支援を必要とする子ども一人ひとりのニーズに対応した適切な教育支援を行える高度な能力を身に付けた教員、特別支援教育コーディネーターとしての役割を担うことができる教員を養成する。

●院試

小論文、口述試験。

大阪教育大学、関西大学、近畿大学は推薦枠に入れば、入学金と筆記試験が免除になる。

●社会科教育学を学びたい人は

峯明秀先生が財政教育などを行っている。学生同士の勉強会も気軽に開いている。大阪教育大学付属学校との連携も充実。

修士課程(教育学研究科 高度教育支援開発専攻)

●特徴

教育・学習支援の実践力と課題分析力を身に付けられるよう教育課程。教員以外の立場から教育現場の課題解決・価値創造の一翼を担う高度な人材を養成する。

① 心理・教育支援コース


② 国際協働教育コース
理数系が中心の「日本型教育システム開発領域」、日本語を教えるために必要な日本語・日本文化を体系的・専門的に学ぶ「日本語教育支援高度化領域」の2つに分かれ、多くの留学生を受け入れている。

③ 教育ファシリテーションコース(夜間)
AI、ICT等の先端技術を活用し教育課題の解決を目指す「教育イノベーション開発領域」、社会教育や福祉・美術や音楽などの芸術活動を通じて課題の解決を目指す「地域教育・芸術支援人材高度化領域」、医療や保健、スポーツなどを通じて課題の解決を目指す「健康・安全教育高度化領域」から構成。

●院試

英語の読解、小論文、専門性を見る口述試験など

●社会科教育学を学びたい人は

社会科教育学を学びたい人は教職大学院へ。

岡山大学

教職大学院

●特徴

研究よりも学校教員養成が目的で、学生の4分の1は現職教員。

2年間を通して県内公立学校での授業実践が大きく3回ある(①生徒の実態把握1週間、②授業実践3週間、③②の内容を修正して授業実践2週間)。

しかし、実践をどれだけさせてもらえるかは配属された学校による裁量が大きいこと、コロナで変更が多いこともあり、研究構想通りにできていない学生がいることも内情。

学部生のような講義形式の授業もあり。

修論はなく、実践をまとめた研究報告書を提出する。

●院試

小論文と面接。面接には模擬授業もあるので教員採用試験っぽい。願書を出す際には課題論文を提出。

●社会科教育を学びたい場合は

入学後にゼミ配属の希望を出す際に、山田秀和先生の希望を出せば社会科教育の研究室に配属される。

1学年1人~3人。

(※地理・地理教育を学びたい場合は川田力先生)

ゼミは週に1回、文献講読や授業づくりなどを行う。

これまでの学生の研究テーマは以下など。
「自己決定の場を与える高校世界史の授業づくり ーシミュレーション教材の実践を通してー」
「小学校社会科における意思決定学習の授業構成ー批判的思考のプロセスを応用してー」
「政治的関心を高める公民科授業構成の開発」

修士課程

●特徴

教育科学専攻として他分野の人とPBL(テーマを決めて問題解決のプロジェクトに取り組む)をM1では必ずすることになっている。他教科の人や留学生とプロジェクトに取り組むのは勉強になる反面、人によっては面倒くさく感じるかも。

●院試

試験は小論文と面接。対策をすれば難しくない。出願時に研究計画書を提出。

●社会科教育を学びたい場合は

出願前に桑原敏典先生に会って相談し(早ければ早いほどいい)、出願して試験に合格すれば桑原ゼミに入れる。

修士課程は1学年10人程度でとても多く、そのうち7割は留学生。学部生と博士課程も入れると全部で40名にもなる。
留学生が多いのでわからないことをわからないと言いやすく、(良くも悪くも)ゆるい雰囲気で大学院生活を送ることができる。異文化を学べる!

地域と連携した教育や、多文化共生教育、 公民系授業開発研究、 教師へのインタビュー調査研究をしている学生が多い。歴史教育や地理教育をやっている学生は少ないが桑原先生なら十分対応できる。日本語教育やキャリア教育、社会教育をやっている学生もおり、テーマは幅広い。

年に数回、海外大学との交流や、高校への出前授業などの活動も行っている。

2020年と2021年は完全オンラインで、岡山県外に住んでいる人も通いやすい。

広島大学

教職大学院

情報提供募集中

教育学研究科

●特徴

社会科教育学の場合、M1は社会科教育学の先生方の授業とその準備(発表資料作成)に多くの時間を費やす。M2になってもそれらの授業から発展した共同研究をすることが多い。課題なども多くやりがいもあるが骨が折れる。

●院試

英語の筆記試験、社会科教育学や教師教育に関する専門的内容を問う筆記試験、面接。

広島大学に来れば過去問が見られる。

●社会科教育学を学びたい場合は

広島大学修士課程では社会科教育学の先生が4人(棚橋先生、草原先生、川口先生、金先生)もおり、充実した指導を受けることができる!院を受ける時点でどの先生のゼミに入るか決めている場合が多い。

例えば、川口広美先生のゼミは、社会科教育学を軸としながらシティズンシップ教育全般を対象としている。教師教育、論争問題学習にも積極的。

ゼミ生は学部生・修士課程・博士課程を入れると15名ほど。

フレンドリーな雰囲気でお菓子やお茶を飲みながら和気あいあいと話すことも多い一方、批判し合える関係が作れているが故に、研究を根本からひっくり返すような指摘も飛び交う。抽象的な議論も多く、めげない心が重要。

学年ごとに分かれ、週1でそれぞれゼミが行われる。M1であれば、M1ゼミへの参加は必須、他のゼミには自由参加。ゼミは、学会発表や論文投稿、特研(3ヶ月に一度、社会科教育学系の全ゼミ生・先生が集まり、研究発表・相互議論する場)に向け、研究や資料を吟味する場として活用されている。またゼミの他にも、不定期で読書会などを開催している。

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