私の通っていた東京学芸大学で、2種類の署名運動がおこりました。
それは「東京学芸大学自治会執行委員会」によるものと、「東京学芸大学に授業料の返還と文部科学省に支援を求める会」によるものです。
何が違うの?どんな署名?
東京学芸大学自治会執行委員会によるもの
自治会は「学生と大学の窓口」として、普段から様々な活動、例えば新入生歓迎オリエンテーションの運営などを行っています。
4/18に大学生を対象としたアンケートを行い1000件を超える回答が集まりました。
その後4/26に「学生の要求をより重要性を持って大学へ伝えるため」(twitterより引用)署名活動が始まりました。600件を超える署名が集まったそうです。
遠隔授業等に関する要求、情報に関する要求、学生生活に関する要求、授業料等に関する要求、など要求の種類が多様にあり、また、賛同できる要求のみを選んで署名できる点に特徴があります。
「東京学芸大学に授業料の返還と文部科学省に支援を求める会」によるもの
「求める会」とは東京学芸大学の大学生・大学院生の有志3人による、4/18に発足したばかりの団体です。
求める内容は2つで「大学に学生への授業料の返還を求める」「文部科学省に高等教育機関への特例の予算措置を求める」です。現在400を超える署名が集まっています。
自治会と違って、文部科学省にも特例の予算措置を求めている点に特徴があります。
大学の収入の4分の1は学生による学費でまかなわれており、返還してもらうためには文部科学省の協力が必要だと考えているためだそうです。
アンケートにご協力ください
私はこの大学を卒業した身ですが、この2つの運動に大変興味を持ち、現役で通っている大学生がどのように感じたか明らかにしたいと思い、アンケート調査を始めました。調査を行う理由は3点です。
1.大学生にとっての選挙と署名の違いを明らかにしたかったから
国政選挙の後など、よく「なぜ選挙に行ったのか?」「なぜ選挙に行かなかったのか?」といったアンケートが行われています。
しかし「なぜ署名したのか?」「なぜ署名しなかったのか?」といった、署名を対象にした意識調査は管見の限りですが見つけられていません。
選挙と署名はどちらも比較的参加方法が簡単(今回の署名はスマホでできるので署名の方が簡単)だということは共通していますが、選挙は何年かに一度定期的に行われるものであるのに対して、署名は誰かが目的をもって急に始まるものです。
また、選挙は代表を選ぶ行為である(その人が当選するかわからない、公約を果たしてくれるかわからない)のに対して、署名は具体的な要求に賛同する行為だという点に違いがあります。
若い世代の投票率が低い理由としてよく「自分に関係がないと思ってしまうから」ということが挙げられますが、今回の署名は学生にとって何らかの関係があるテーマで、要求がはっきりしていますが、今回の行動の選択にどのような意識が働いているのでしょうか。
2.社会からの大学生のイメージと実際の大学生の意識の違いを明らかにしたかったから
大学生の2割が退学を検討しているという報道が新聞やニュースで取り上げられており、社会からの注目度も高い運動となっています。
退学を検討している大学生がよく取り上げられていますが、強く不満を感じている学生も、そこまで感じていない学生もいるでしょう。
不満を感じていない大学生、あえて署名しない大学生の存在も一人の市民としてこの調査で可視化したいと考えています。
3.今後の主権者教育の方向性を考えるひとつの材料になると思ったから
この調査は今後の主権者教育研究の方向性にも影響を与えるのではないかと考えています。
主権者教育とは、西野偉彦さんによると「様々な利害が複雑に絡み合う社会課題について、できるだけ多くの合意を形成し、今とこれからの社会をつくるために、政治に参画(=意思決定プロセスに参加)することを目指して、若者が「知り・考え・意見を持ち・論じ・決める」ことを学んでいく教育」です。
署名はまさに「知り・考え・意見を持ち・行動する」という行為ですが、署名に対する若い世代のリアルな意識を調査することで、主権者教育の目指すアプローチが変わってくるかもしれません。
ちなみに私が今所属している岡山大学では署名運動のような活動は行われていません。2つの団体が活動していて「盛り上がっているように見える」東京学芸大学の調査を卒業生が行うこと、お許しください。
アンケートは以下のリンクから回答できます。
ご協力のほど、よろしくお願いします。
また、東京学芸大学に所属していない人も、署名に参加したことがあるかどうか、その選択を選んだ理由についてぜひ教えてください。
≪参考記事≫
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