【イベントレポ】生涯教育としての主権者教育のありかたとは?

主権者教育

学生団体ivote主催「政治をラフに話そう~教育編~」で教育、特に主権者教育のことについて話題提供者として話してきました!

参加者は「主権者教育という言葉はあまり聞いたことなくてまだよくわからない」という方から「主権者教育について大学院で研究したいと考えている」という方まで様々でした。

しかし「若者の政治への意識に関心があるけど教育からやっていかないといけないかなと思った」、「アメリカに留学したときに政治への意識が日本と大きく違っていて、日本の教育について考えたいと思った」など、主権者教育に可能性を感じている人が多く参加してくれている会でした。

主権者教育の対義語は?

主権者教育は「民主主義(みんなのことをみんなで考える)社会を形成する構成員を育成する」教育で、学校教育だけで行われるものではないし、もちろん社会科教育だけで行われるものでもありません。

しかし、そうはいっても抽象的で、「社会の構成員を育成したらなんでもありなのか?」と思ってしまう人もいるかもしれません。

そこで、少人数グループに分かれて、主権者教育の対義語を考えるワークを行いました。

出た意見は以下の通りです。

  • 生の政治を扱わない教育は主権者教育ではないのではないか。日本は中立性を意識して政治の話がタブー視されている。
  • 暗記ばかりで自分の頭で考えない学習は主権者教育ではない。
  • 思想や発言に自由がない統制教育
  • 地域とのつながりがない閉鎖的な教育
  • 国家主義的な教育
  • 無関心を育てる教育

出た意見にも近いものがありますが、私の考える主権者教育の対義語は「思考停止教育」です。
(イベントのなかではこれをちゃんと言わなかった笑)

話の後半にも出てきますが「絶対選挙に行こう!」と個人の心がけにうったえ、思考停止を促す教育でなく、社会の構造から社会の問題を解決する方法を考えられるような教育を目指したいです。

主権者教育における課題とは?

戦後日本は民主主義社会を目指すために教育改革が行われましたが、今の日本の学校教育は主権者教育ができているとは言い難い現状があります。なぜでしょうか?

イギリスの『エコノミスト』誌関連のシンクタンクは民主主義ランキングを発表しており、日本は23位に位置しています。これは先進国のなかでは下位にあたります。

参考:「日本の民主主義」が世界で評価されない理由 池上彰が教える、「民主主義」とは何か」

だから主権者教育をしよう、ということになるのですが、民主的でない社会が当たり前になっている大人に囲まれて子どもはどのように主権者になることができるのでしょうか?

また「絶対選挙に行こう!」という授業は統制・教化になってしまいますが、かといって「政治に参加してもしなくてもいいよ」というように自由にしてしまうとこれまでと変わらないかもしれない。

そして何回も言われていることですが「1回きりの体験で終わる模擬選挙で主権者になれない」のです。

生涯教育としての主権者教育のありかたとは?

主権者教育で目指す主権者像はひとつではありません。人の数だけそれぞれの目指す主権者像があるはずです。

また、主権者教育は学校のなかだけで終わりません。学校を卒業しても自分で情報を得て考え続けることが必要です。

としたら、自分でどのように目標(なりたい主権者)を設定し、どのように学び続けるか考えることが必要なのではないでしょうか?

どんな主権者になりたいか、イベントの参加者から出た意見は以下の通りです。

  • 候補者の情報をいっぱい知って、選挙に行きたい
  • (上の人とは違って)人柄とかは排除して、政策をちゃんと見て判断できるようになりたい
  • 選挙の時だけ考えるんじゃなくて常日頃からアンテナをはって考えられる主権者になりたい。そのために最近新聞を読んでいる。
  • 選挙とか政治とか関係なく同調圧力に対抗していけるような人になりたい
  • 一人で勉強するのは難しい。コミュニティに入ったりTwitterを見たりして、社会のことについて自然と考える環境にいたい。

「主権者」のとらえ方も人によって大きく違うし、自分を向上させる方法も様々な種類があることがわかります。

また、それぞれがどんな主権者になりたいと考えるかは、それぞれの経験(例:初めて選挙に行ったとき迷ってしまった)に大きく依存します。

ただ目的を持たず社会科の授業を受けたりニュースを見るだけだったら、主体的に考えることのないままになってしまいかねません。

それぞれの目標を意識しながら学習するような教育が、生涯教育としての主権者教育につながるのではないかなと思います。

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